家賃が払えなくて悩んでいる人は増加傾向にある

近年、家賃が払えなくて悩んでいる人は増加傾向にあります。

雇用が不安定という理由も大きいですが、毎月の支払いの中で家賃が最大の支出となっているためです。

一般的には手取りの3分の1以下が望ましいとされており、月収20万円の人なら6.7万円以下になります。

しかし実際には光熱費、保険料、食費、通信費、交際費などの支出を考慮すると、手取りの3割りを目安に考えても重く感じることも少なくはありません。

家賃を滞納してしまった場合、うっかり払い忘れていたというケースもあるので直ぐに退去になることはなく、まずは大家さんや管理会社から支払いの督促を受けるのが一般的です。

家賃滞納も増加しているので、家賃保証の全保連などの保険に加入しないと借りれない賃貸物件も増えてきています。

滞納してしまった場合、いつ払うかを決めきちんと支払いすれば問題はない

この時点でいつ払うかを決め、きちんと支払いをすれば問題はありません。

しかし、ちょっとくらい遅れてもいいだろうと督促の連絡を無視したり、何か月も家賃滞納が続くようになると悪質とみなされて退去に追い込まれることになります。

家賃滞納による退去のプロセスは以下の通りです。

大家さんや管理会社の督促連絡後も支払いができないようであれば、「賃貸契約解除」の通知が内容証明書で届きます。

内容は「滞納賃料を◯日以内に支払うこと。支払いが行われなければ賃貸契約を解除する」というものです。

この通知後も支払いが行われない場合は賃貸契約の連帯保証人に連絡がいき、同様の書類が保証人にも郵送されます。

期間内に支払いが行われないと訴訟を起こされることもあります。

その後、裁判所の判断により、滞納していた賃料を支払い自主撤去しない場合は強制的に退去させられるでしょう。

予告なしに退去させられることは法律違反になる為、必ず事前の通知はある

ただし、家賃の支払いが遅れたことに対する強硬な催促、勝手に鍵を取り換える、勝手に侵入し家財を処分するなど「予告なし」に退去させられることは法律違反になるので、必ず事前の通知はあります。

以前、家賃滞納を理由に勝手に部屋の鍵を取りかえられて追い出された男性が損害賠償を求めた訴訟を起こしました。

この判決で東京地裁は家賃保証会社に55万円の支払いを命じています。

賠償の内訳は、保証会社が勝手に処分した家財の損害30万円、追い出されてホームレス生活を余儀なくされた慰謝料20万円です。

強制退去の必要性があるのは賃貸人と賃借人の信頼関係が破壊された時と定義していますが、一般的には家賃を3か月以上滞納すると信頼関係の破壊とみなされます。

ただし、これは法律上の目安なので重要なのは契約書の内容です。

契約書に「賃料の不払いがある場合は即時契約解除」などと記載されていれば数か月という猶予はありません。

対策としては、いずれにしても家賃を支払うしかありません。

ただ、直ぐにお金が工面できない場合は大家さんや管理会社に相談してみましょう。

家主としては入居者とあまり揉めたくないというのが本音なので、支払う意志を見せれば強制退去になるようなことはありません。

払い忘れていた場合は督促の連絡を受けた時にすぐ対応し、お金が足りない、入院中で直ぐに払えない、転職したばかりで給料が入らないなど事前に支払いが難しいと分かっている場合は自ら連絡して◯日までに払う等、伝えておくのが正しい対処法です。

また、数か月滞納している場合は一括で支払うのが難しいこともありますが、その場合は分割払いをお願いすることもできます。

分割払いに応じてくれるかどうかは相手次第ですが、支払う意志を見せて何度もお願いするしかないでしょう。

デメリットは、新たに部屋を借りようと思っても審査に通らない可能性がある

家賃滞納や強制退去を受けることによるデメリットは、新たに部屋を借りようと思っても審査に通らない可能性があるという点です。

家賃保証会社を利用している方は、過去に家賃滞納がある保証会社は利用できません。

また、全国賃貸保証業協会(LICC)に加盟している保証会社は信用情報の共有を行っています。

LICCは、借主の氏名や年齢などの個人情報や家賃支払い状況の情報を管理している機関です。

そのため、LICCに加盟している保証会社は以前滞納があったかどうかの確認ができるので、もしも滞納があれば審査には通過させることができません。

よって、再び家賃保証会社を利用して部屋を借りる場合は審査に落ちるリスクが高まるでしょう。

中には、どうしても支払えなくて夜逃げ同然で家賃を踏み倒してしまう方もいます。

しかし、住居を変えても居場所は特定できるので、支払いから逃れられるわけではありません。

滞納賃料を請求する場合は遅延損害金も一緒に請求できるので、放置することで家賃+利息を請求されることもあります。

遅延損害金の利率は元金に対して一定の利率で算出されますが、個人の賃貸借の場合には年14.6%が上限で、これを超える利率は無効です。

また、契約内容に遅延損害金の利率が記載されていない場合は法定金利が適用され、原則年5%の利率になります。

賃料請求の時効は5年です。

5年のうちに一度も支払い督促がない場合は時効が成立しますが、時効の中断がされなかった場合ですので、基本的には時効を迎えるのは難しいでしょう。

最終更新日 2025年5月20日 by 10witnes